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しずろく2025年10月6日の毎日新聞に、こんな見出しが出ていました。
「憧れの海外駐在 思わぬ『ミスマッチ』 9割超の企業で途中帰任発生」
元記事はこちら


給与待遇も高く、駐在ブーストもあって、キャリア形成にも有利な海外駐在。
なのに、9割以上の企業で「途中帰任」が発生している——。



え、9割って…ほぼ全部の企業ってこと?
そう。それも「語学力不足」ではなく「文化適応の失敗」が原因。
調査を実施したのは、ビジネス英会話サービス「Bizmates」を提供するビズメイツ社。
従業員500人以上の企業の人材育成・研修担当者400名を対象にした調査で、「過去3年間に任期途中で帰国した海外赴任者がいない」と回答した企業はわずか8.8%でした。


途中帰任は、本人にとってもキャリアの大きなダメージ。
企業にとっても、1人あたり数千万円〜億単位のコストをかけて送り出した駐在員を短期で戻すのは、大きな損失。
私も南米で駐在をしてきて、この数字を見て正直「わかる…」と思いました。
駐在は英語力よりも“人間力”が試される仕事なんですよね。
この記事では、ビズメイツ調査のデータに加えて、
商社・メーカー・銀行の海外駐在員を数多く見てきた私の経験から、
「なぜ途中帰任が起きるのか」「どうすれば防げるのか」を徹底解説します。





まず、ビズメイツ調査の途中帰任の理由ランキングを見てみましょう。
| 順位 | 途中帰任の理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 現地の文化や価値観になじめなかった | 35.0% |
| 2位 | 現地スタッフとのコミュニケーション不全 | 33.8% |
| 3位 | 日本式の働き方に固執して適応できなかった | 26.0% |
| 4位 | 語学力が不十分で業務に支障が出た | 18.8% |
| 5位 | 帯同家族が生活・教育環境に適応できなかった | 17.5% |
見えてくるのは、途中帰任の原因が“人間関係”と”カルチャー”に集中しているという事実。
1〜3位を合計すると約95%が「文化・人間関係」の問題。
一方、「語学力不足」は4位(18.8%)にとどまっています。
そして見落とされがちなのが5位の「帯同家族の不適応」17.5%。
駐在員本人ではなく、家族が原因で帰国に至るケースも約6人に1人という事実は、もっと注目されるべきです。
💬 英語は通じても、気持ちは通じないことがある。
これが海外駐在のリアル。
この高すぎる数字の背景には、日本企業の”送り出す側”の問題もあります。
同じビズメイツ調査によれば、
つまり、「準備の投資が足りない状態」で駐在員を送り出しているのが日本企業の実態。
これでは、ミスマッチが9割発生しても不思議ではありません。



つまり、自分で準備する駐在員が勝つ時代。
この記事の残りで、その”自己武装”のやり方を解説します。





正直、海外駐在って“成果”よりも“人間関係”で決まります。
私がアルゼンチンに赴任していた頃、
同じ時期に日本から来た先輩がいました。真面目で責任感も強い。
社内評価も高く、期待されて送り出された人でした。
でも結果、彼は5年任期のはずが1年半で帰国することになりました。
理由は、現地アルゼンチン人スタッフとの関係が決定的に悪化したからです。
日本式の「報・連・相」を徹底させようとしたけれど、
相手からすれば「細かすぎる」「信用されてない」「子ども扱いされている」と受け取られた。


その結果、会議で発言が出なくなり、情報も上がってこなくなる。
目標の半分も達成できないまま、最後は体調を崩して帰国という結末でした。
一方で、別の同僚は“全然違うやり方”でした。
最初の3か月、ほぼ何も口を出さずに市場と現地スタッフの観察に徹した。
飲み会にも顔を出し、スタッフの誕生日にはケーキを買ってきて、
片言の学んだばかりのスペイン語でジョークを飛ばす。





気づけばチームが勝手に彼を支えていた。
同じ会社、同じ部署、似たようなスペイン語レベル。
それでも結果は真逆でした。
この差を生んだのは「英語力」ではなく「文化との距離感」だった、と今も確信しています。





多くの駐在員を見てきた私の結論。
成功する人は、例外なくこの3つの力を持っています。
| 3つの力 | 中身 |
|---|---|
| ① 柔軟性 | 「郷に入っては郷に従う」。 文化の違いを“面白がれる”力。 |
| ② 共感力 | 本社のロジックより「共感の一言」が人を動かす。 「わかる、その気持ち」が言える力。 |
| ③ 学ぶ姿勢 | 「教えに来た」ではなく 「学びに来た」と態度で示せる力。 |
どの国でも、うまくいく人は必ずこの3つを持っている。
これはスキルではなく、“生き方のクセ”のようなもの。



つまり、性格というより”姿勢”の問題ってことね。
その通り。そしてこれは意識すれば誰でも身につけられるものでもあります。


そもそも「海外駐在の成功」とは何でしょうか。
人それぞれ定義はあるかもしれませんが、
私が多くの駐在員を見てきた経験から、共通する成功の要素は以下の3つ。


これは「数字を追う」という単純な意味ではありません。
本社から与えられたミッションをこなしつつ、現地の実情を理解して自分の言葉で事業を”回せる状態”をつくること。
本社からの要求を受け止め、現地の言葉に翻訳し、チームを動かして結果を出す。
ときには現地のスピード感や価値観に驚き、自分の常識が通じない瞬間もあります。
それでも一歩ずつ、数字と信頼を両輪で積み上げる人が、「成果を出せる駐在員」と呼ばれます。
💡 成果とは、「あなたがいなくなっても回る仕組み」を残すこと。


駐在の本当のゴールは、赴任中の活躍ではありません。
「あなたが帰国したあと」にもチームが成長し続ける状態をつくることです。
資料やマニュアルを残すだけでは意味がありません。
現地メンバーが自分の言葉で戦略を語れ、意思決定を自走できるようになってはじめて、その”仕組み”は生きたものになります。
成功している駐在員は、最後まで“主役”ではなく“助演”。
現地スタッフに光を当て、自分が消えても続く流れをデザインします。



余談:南米では「数字」よりも「信頼」で仕事が進みます。
朝の握手、ランチの雑談、ちょっとした気遣い。
日本では当たり前の“業務外コミュニケーション”が、実は一番の武器になる。
💬 「お前が言うならやってみるよ」
— この一言がもらえた瞬間、駐在員としての“信頼バッジ”を手に入れたようなもの。


そして3つ目、これは見落とされがちですが、
自分と家族の”心のバランス”を保てていること。
ビズメイツ調査の「途中帰任理由5位(17.5%)」が「帯同家族の不適応」であったことを思い出してください。
駐妻キャリアnetの調査によれば、帯同から1〜6か月が“カルチャーショック期”。
配偶者の約80%がメンタル不調を実感するという衝撃のデータもあります。
「家庭が落ち着いているかどうか」は、駐在パフォーマンスに直結します。
ある同僚は、子どもの学校で現地保護者と交流を持つようになってから、家庭が安定し、仕事でも明るさが戻りました。
家族が現地を楽しめるほど、本人のパフォーマンスも上がる。
これは統計よりも、駐在員たちが肌で知っている事実です。
💬 駐在の成功は、“家族が笑っていられること”。
それが、どんな成果よりも大きな価値なんです。



正直、自分が駐在に向いてるのか分からない…
この記事でここまで読んだ方、おそらく感じているはず。
「じゃあ自分は大丈夫なの?」と。
ビズメイツ調査と私の経験から、途中帰任リスクを測る10のチェックリストを作りました。
YESが8個以上:駐在適性◎ 自信を持って行ってOK
YESが5〜7個:準備次第で十分対応可能
YESが4個以下:要注意。次章の”準備リスト”を必ず実行



これはあくまで私の経験則。
でも、意外と当たると言ってもらえる項目たちです。





では、具体的に何をすればいいのか。
駐在経験者として、“ここだけはやっておけ”という準備を5つ紹介します。
現地文化の本を1冊読む、YouTubeで駐在員の動画を10本見る、ChatGPTに「〇〇国でビジネスするときのタブー」を聞く——何でもいい。
“出発前に知ってる”と”知らない”では、初日からの動きが180度変わります。
例:アルゼンチンなら「挨拶のbeso(頬にキス)」、インドなら「左手でモノを渡さない」、中東なら「金曜は休み」。こんな小さな知識1つが、現地スタッフとの距離を一気に縮めます。
「サッカー・食事・週末の過ごし方」。
どの国でもこの3つは確実に盛り上がる。
仕事以外の話ができる関係を作れるかどうかが、現地適応の鍵。
ビズメイツ調査で2位だった「現地スタッフとのコミュニケーション不全」の多くは、仕事の話しかできない状態から始まります。
「現地が合わなかったらどうするか」「どれくらい孤独を感じるか」「帰国後のキャリアはどうするか」——。
ポジティブな話だけでなく、ネガティブな可能性まで全部共有しておく。
前述した駐妻キャリアnetの調査では、帯同配偶者の80%がメンタル不調を実感。
「知らなかった」「聞いてなかった」が、夫婦関係の最大の亀裂になります。




外務省調査では、海外在住日本人の約45%が「孤独感を覚える」と回答。
現地の日本人コミュニティ、オンライン英会話、趣味のオンラインコミュニティ——
“頼れる場所”を最低3つ、出発前に押さえておくこと。
語学研修にお金をかけるより、“相手の話を最後まで聞ききる”練習を。
文化適応で失敗する人の多くは、”自分が話す”ことに集中しすぎています。
英語は「通じる」レベルで十分。大事なのは「聴いて、理解して、返す」3段階。
🧠 文化を知らずに出発するのは、地図を持たずに旅するようなもの。





人事・研修担当の方へ。ここはしっかり伝えたい部分。
ビズメイツ調査では、海外赴任前研修に「異文化理解」や「家族ケア」の必須プログラムを設ける企業は6割弱にとどまります。
多くの企業は、駐在員を送り出すとき“英語研修”だけをやって終わりにしがち。
でも途中帰任の主因は、調査データが示すとおり「語学」ではなく「文化適応」です。
必要なのは、“文化を翻訳できる人”を育てる仕組み。
語学研修の前に、「クロスカルチャー研修」「家族同伴のオリエンテーション」「赴任後1年のメンタルフォロー」の3点セット。
これが、9割の途中帰任率を下げる現実的な解です。





最後にまとめです。
ビズメイツの調査が示したのは、“駐在は語学じゃない、人間関係だ”というシンプルで残酷な真実。
そして、9割の企業で途中帰任が起きているという現実。
でも、これを知って準備をする人と、知らないまま行く人では、結果は180度変わります。
カルチャーショックに戸惑うのは、挑戦している証拠。
完璧じゃなくていい。でも、「違いを楽しむ力」だけは、忘れないでほしい。
🌍 現地に溶け込むことは“自分を失う”ことじゃない。
“自分の世界を広げる”ことなんだ。
この記事が、これから駐在に行く方、今悩んでいる方、送り出す企業の方の“地図”になれば嬉しいです。
また








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